和歌山県で酒類販売業免許の手続き支援を行っている行政書士橋本です。
さて、すでに酒類販売業免許を受けた後に、新たな店舗に移転することになることもあると思います。
賃貸から自社店舗へ、はたまた、自宅兼販売場から新たに店舗を構えるなど、事業状況により販売場を移転する必要が生じます。
このような場合には、手続きが必要なため、忘れずに手続きを行いましょう。
では、お酒の販売場の移転に伴う具体的な手続きを見ていきましょう。
目次
酒類の販売場を移転したいとなった場合はどうしたらいのか?
お酒の販売場を移転を考える場合は、あらかじめお酒の販売場の場所的要件を満たす店舗であるか検討することが必要です。
現在免許を受けているお酒の販売業免許を取得する際の申請時のことを思い出してみましょう。
ご自身で申請せず、行政書士に代行依頼した場合も、申請書類控えを探して店舗の使用権原等を証明するための書類を再確認しましょう。
賃貸、自己所有の違いはありますが、概ね同様の書類により、場所的要件を満たすか証明する必要が移転の際も同じくあります。
では、酒類販売業免許に求められる販売場の場所的要件について確認していきましょう。
酒類販売業の販売場の移転に確認が必要な要件とは?
前提として、すでに酒類販売場の免許を受けているわけですから、人的要件、経営基礎要件、場所的要件、需給調整要件については、現在営業中の店舗にてクリアしているという状況です。
そして、現在の状況から経営主体は変更せず、店舗(販売場)のみを移転するわけです。
ということは、変更があるのは、店舗(販売場の移転)についてのみ税務署が審査を行うという流れになります。
では、この場合、酒類販売業免許の要件でいうと何を見る必要があるのかというと、それは「場所的要件」と「受給調整要件」となります。
では、さらに場所的要件と需給調整要件を見ていきましょう。
場所的要件
では、国税庁が公開している手引書から、場所的要件についての説明を書きに引用します。
2 酒税法 10 条9号関係の要件(場所的要件)
正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていない
こと具体的には、①申請販売場が、製造免許を受けている酒類の製造場や販売業免許を受けている
酒類の販売場、酒場又は料理店等と同一の場所でないこと、②申請販売場における営業が、販売
場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性その他販売行為において他の営業主
体の営業と明確に区分されていることが必要となります。
(注) 例えば、狭あいな店舗内の一部を賃借等して陳列棚を販売場とする場合などは、明確に区分されている
とは認められません。
酒類販売業の販売場としては、上記の要件にあてはまることが必要です。
なお、①については、申請者とは異なる他の営業主体がすでに酒類の販売場を設けている同一の場所に、重複して販売場を設けることは出来ないという意味となります。②については、例えば複合施設内に店舗を設ける場合などに考慮すべき点となります。独立の一店舗や自宅での開業の場合は、検討の必要ないと考えております。
酒類販売場の移転許可か異動届出かについて
販売場を移転する場合に、上記にも書いておりますが、移転許可か異動届出かを先にはっきりさせておく必要があります。
移転許可は審査期間が2か月となり、移転許可がおりるまでは新しい販売場で営業ができません。
それに対して、異動届出は届出が受理されれば効力が生じます。
連続した敷地を新たに購入し、店舗拡大する場合は、建物の状況により3つのパターンが考えられます。
①新たに販売場免許の取得が必要となるパターン
②酒類販売場の移転許可が必要となるパターン
③酒類販売場の異動届出で済むパターン
手続内容と審査機関も大きく異なるので、税務署に相談してから計画を考えた方が良いです。
需給調整要件
登録免許税について
登録免許税については、すでに酒類販売業の免許交付時に支払いを行っているため、販売場の移転手続きについては必要ありません。
この辺りは、良心的だと思います。